2025/07/18 社会福祉学科
社会福祉学を学ぶ人のためのストーリー:福祉で学んだことは民間企業でも必要なことだった
社会福祉学科に進学すると卒業後に介護の仕事に就く」という印象をもつ高校生が多いかもしません。しかし社会福祉を学ぶことは将来を福祉の仕事に限定してしまうことではなく、社会や人間について広く知ることで、進路選択に際してよりやりたいことを具体的に考える材料をたくさん得ることにつながります。このお話は大学の社会福祉学科で学ぶイメージを持っていただくための創作ストーリーです。
「社会福祉学科で学んだから広がった私の進路。大学卒業後に訪問したゼミの先生の研究室にて」
卒業して3年ほど経ったある日、私は大学時代にお世話になったゼミの先生の研究室を訪ねました。
「お久しぶりです。先生!やっと仕事もすこしやりがいを感じられるようになってきたので、今日は久しぶりにお話ししたくて…」
「おお、元気そうだね。今は子育て支援サービスの会社に勤めているんだよね?」
「はい。入社してから本当にいろんな経験をしています。でも、仕事をしている中で、改めて大学での学びが今につながっているなって感じることが多いんです。」
「高齢者が介護を必要としながらも、自宅で安心して暮らしていけるようするにはどんな仕組みが必要か、とか、障がいを持つ方が、学校や職場でどんな困難に直面しているのかとか、子育て中の家庭が、どんな支援を必要としているのかとか、知らなかったいろいろなことを勉強しましたね。それから制度について知ることができた『社会保障論Ⅰ』や『公的扶助論』は、今の仕事でもすごく役に立ってます。社会の中で起きている課題や制度について、高齢化とか、子育て支援とか、障がい者支援とか…当時は難しいなと思いながらも、今はそれが私の仕事の中身と自然につながっているんです。」
「なるほど。大学の学びが社会を見る視野を広げてくれたわけだね。在学生たちにも『授業は卒業後に役に立つよ』って話をしたいから、覚えている授業と今の仕事の関係の話をもうすこし聞かせてくれない?」

「あー、そうですねぇ???。実は今の会社の商品企画でも、「利用者の困りごと」を切り口に、ユーザーの視点から新しいアイディアを考えるとき、当時学んだ『個別支援』の視点や社会調査の知識がとても役立ってるんです。」
「ゼミでも、いろいろ取り組んでたよね?」
「はい、先生の『リエゾンゼミⅡ』や『リエゾンゼミⅢ』で、福祉現場の課題がテーマの、グループでの現場調査やプレゼン。当時はちょっと無茶ぶりだと思ってましたけど、結局、今の仕事もチームでプロジェクトを進めますから、課題発見?解決のプロセスや、チームでの協力も、ゼミでたくさんやっていて、今につながってますね」
「たしかに、ゼミ発表のときも、現場を見学したあと、チームで情報収集をして、丁寧にまとめていたね。」
「それに『福祉サービスの組織と経営』や『マーケティング論』の授業で学んだ経営や広報の知識も、今の企業の仕事で活きています。福祉施設の広報活動やNPOの資金調達の仕組みを学んだおかげで、事業企画のアイディアを出す時も福祉的な視点が自然と入るんです。」
「実習も印象に残っているんじゃない?」
「そうなんです。福祉施設での実習で、福祉の現場で働く方々の思いや熱意にすごく感動してしまって、実習後に自分に何ができるのかずっと考えて。結局、福祉に携わっている人たちも含めて、民間の会社でいろいろな人たちの生活を良いものにするサービスや商品に貢献したい適性に気づけました。あの実習が、自分の卒業後のキャリアを考える大きなきっかけになったと思います。「大学に入ったときは、『福祉=介護の現場』と思っていたけど、学ぶうちに『社会の課題を支える方法はたくさんある』って気づけたんです。」
「まさにそれが社会福祉学の面白さでもあるんだよね。」
「はい。社会や人について学ぶ中で、自分に合った進路を探せたと思っています。福祉を学んだからこそ、今こうして多様な人たちの生活を支えるサービスを考える仕事に就けたんだと感じています。」
社会福祉学科のカリキュラムを通して、学生が社会福祉の分野だけでなく、それ以外の分野も含めて、自分の将来の進路やキャリアを探すための考察に役立つ多くの知識や視点を学ぶことが可能です。シラバスの様々な科目が、直接的あるいは間接的に、学生が自分の将来について考えるための機会を提供しています。
具体的に、以下のような内容が学生のキャリア探求に役立ちます。
- 社会構造、社会問題、制度への理解と多角的な視点の育成
- 「社会学と社会システム」では、現代社会の特性、生活の多様性、人と社会の関係、社会問題とその背景について学びます。社会的格差、社会政策、労働、世代など、幅広い視点から社会を理解することは、様々な分野で生じる課題を捉え、自分がどのように社会に関わることができるかを考える上で基盤となります。
- 「社会保障論Ⅰ」「社会保障論Ⅱ」「公的扶助論」では、社会保障制度や生活困窮者への支援制度について理解を深めます。これは、社会全体の仕組みを理解し、生活を支える制度がどのように機能しているかを知ることで、行政や企業の関連部門など、制度に関わる様々なキャリアを検討する上で役立ちます。
- 「児童?家庭福祉」「高齢者福祉」「障がい者福祉」といった分野別の科目は、それぞれの対象者が直面する具体的な課題と支援を学ぶことで、特定の分野に特化したキャリアや、それらの課題解決に間接的に貢献する様々な職種(例えば、子育て支援関連企業の企画、高齢者向けサービスの開発、障がい者向け製品の製造販売など)を考えるきっかけとなります。
- 「災害ソーシャルワーク論」では、災害時における課題や支援について学ぶことが、防災関連の仕事や地域の安全に関わるキャリアを考える上で役立ちます。
- 現代社会が抱える貧困問題、社会的孤立、性的少数者等、多様な福祉課題について学び、それらを自分に関わる問題として捉え、「当事者」の視点を持つこと。誰もが尊厳をもって生きられる「共生社会」や「住み良い地域」のあり方を考えることは、社会貢献を目指す様々なキャリアの動機付けや方向性を考える上で奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】です。
- 幅広い分野で活用できる汎用的スキルと倫理観の修得
- 「権利擁護を支える法制度」「社会福祉法制論」では、法的な分析能力や権利擁護に関する知識を学び、社会福祉士、精神保健福祉士、公務員、企業といった多様な進路が想定されています。法的な視点や問題解決能力は、様々な分野で必要とされるスキルです。
- 「刑事司法と福祉」では、刑事司法制度や更生保護制度を学び、社会福祉士、精神保健福祉士、公務員、警察官、医療者といった進路が挙げられています。司法や犯罪に関わる分野など、幅広いキャリアの可能性を示唆しています。
- 「リエゾンゼミⅡ(専門基礎演習)関川 伸哉」「リエゾンゼミⅢ(専門演習Ⅰ)関川 伸哉」では、アカデミックリテラシーに加え、コミュニケーションスキル、問題解決能力、自己管理力、チームワーク、倫理観、社会的責任といった汎用的技術や態度?志向性の修得?向上を目指します。これらのスキルは、社会福祉の専門職に限らず、どのような分野の仕事に就く上でも非常に奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】であり、自身の市場価値を高めることにつながります。また、「キャリア(仕事を通した人生の豊かさづくり)」についても考えます。
- 「リエゾンゼミⅡ(専門基礎演習)千葉 伸彦」「リエゾンゼミⅡ(専門基礎演習)田中 尚」では、自分の意見や考えをまとめ、他者に伝える力を養います。これは、プレゼンテーションや議論など、様々な職業で求められる基礎的なコミュニケーション能力です。
- 「リエゾンゼミⅡ(専門基礎演習)眞嶋 智彦」では、論理的思考、分かりやすい話し方や文章作成についても学びます。
- 「リエゾンゼミⅡ(専門基礎演習)三城 大介」では、対人援助職者に求められるコミュニケーションスキルやアサーションといったスキルを学びます。対人援助職は福祉?医療?心理?教育など幅広い領域を指すため、これらの領域全体でのキャリアを考える上で役立ちます。
- 「福祉サービスの組織と経営」では、福祉サービス提供組織の経営や会計財務の仕組みを学びます。これは、福祉分野での管理職や経営に携わるキャリアに直結するだけでなく、一般企業の経営管理や非営利組織の運営など、他の分野のキャリアにも応用可能な知識です。
- 「マーケティング論」は、製品?サービスの普及に必要なマーケティングの理論と事例分析を学びます。これは、直接的な社会福祉サービス提供とは異なりますが、福祉施設の広報や資金集め、NPOの活動周知など、福祉分野の運営や、あるいは全く異なる一般企業でのキャリアに直かすことができる汎用性の高い知識です。
- 自己理解と実践を通じた適性?関心の確認
- 「リエゾンゼミⅡ(専門基礎演習)阿部 利江」では、関連福祉施設の見学や職員の講話を通して「福祉施設の理解」と「福祉の仕事の理解」を深め、「自らの福祉マインドを追求する力やキャリアを考える機」とします。これは、実際の現場に触れることで、自身の適性や興味を確認する貴重な機会となります。
- ソーシャルワーク実習や実習指導の科目では、実際の相談援助活動を体験し、社会福祉士に求められる資質、技能、倫理、自己の課題を把握することを目指します。保育実習や実習指導でも同様に、実践を通して自己の課題を明確化します。これらの実習は、その分野の仕事が自分に合っているか、どのような課題があり、自分に何が求められるかを肌で感じ、具体的なキャリア選択の判断材料となります。
このように、社会福祉学科のカリキュラムは、専門知識だけでなく社会全体への理解と多様な進路選択を可能にする視野を育みます。