2025/07/18 社会福祉学科
社会福祉学を学ぶ人のためのストーリー:個々の強みや特性を生かす力
福祉は単に「助ける」だけでなく、その人の強みや特性を活かし、社会で役割を果たせるようにすることが魅力の一つです。例えば、障がいを持つ方が得意なことを活かして働ける環境をデザインする取り組みなどがあります。強みを活かす「ストレングスモデル」は、支援対象者の「強み」に焦点を当てる方法です。例えば、コミュニケーション能力や創造性、忍耐力など、その人が得意とする分野を特定し、それを活かした目標設定や活動を行います。これにより、自己肯定感やモチベーションが向上し、成功体験を得やすくなります。このお話は大学の社会福祉学科で学ぶイメージを持っていただくための創作ストーリーです。
アキラとユウキの小さな一歩 ー準備の力で支えるー
アキラは母校(高校)の「卒業生と語る会」に招かれ、福祉を学んだ経験を高校生に話していた。その中で、後ろの席に座るユウキという生徒が小さくつぶやいた声を耳にする。
「自分には何もできない…」
かつて同じように悩んでいたアキラは、ユウキに声をかけることにした。
後日、再び高校を訪れたアキラは先生にユウキのことが気になっていることを相談し、アキラはユウキと個別に話をした。
「何も得意じゃないんです…目立つことも苦手だし。」
アキラはゆっくりと問いかけた。
「でも、誰にでも『ちょっとだけ得意なこと』はあるよ。たとえば、他の人より少しだけうまくできることとか、やってると苦じゃないこととか。」
少し考えた後、ユウキはぽつりと答えた。
「準備とか整理とかは嫌いじゃないです。人前に出るのは苦手だけど、行事の準備とか、道具をそろえたり、計画を立てたりするのはわりと好きです。」
アキラは嬉しそうにうなずいた。
「それもすごく大事な力だよ。」
ユウキの役割 —支える準備係—
アキラはユウキに、学校行事で行われる「新入生歓迎イベント」の運営サポートを提案した。
「目立つ役じゃなくてもいい。裏方として準備や進行の計画を担当してみない?」
ユウキは戸惑いながらも、少しだけ興味を示した。
「準備なら…たぶん大丈夫だと思います。」
アキラはミサキ先生にも協力を依頼し、無理のない役割分担を整えた。ユウキは、必要な道具をリストアップしたり、進行表を作成したり、クラスメイトの役割を整理したりと、コツコツと準備を進めていった。

小さな成功体験
イベント当日、トラブルなくスムーズに進行した新入生歓迎会は大成功に終わった。
クラスメイトの一人がユウキに声をかけた。
「ユウキが準備してくれたおかげだよ。ありがとう!」
その言葉に、ユウキの胸の中に温かい自信が芽生えた。
「自分にも役に立てることがあったんだ。」
成長と希望
イベント後、アキラはユウキに語りかけた。
「誰かを支えるって、必ずしも前に立つことだけじゃない。準備して支える人も、大切な福祉の担い手なんだよ。」
ユウキは静かにうなずいた。
エピローグ
数年後、ユウキは福祉系の大学に進学していた。
「自分の得意なことが、誰かの役に立つって知ったあの日が、今の原点です。」
そう振り返りながら、今度は自分が、後輩たちを支える準備を整えていくことに喜びを感じていた。
社会福祉学科のカリキュラムには、その人の強みや特性を活かし、社会で役割を果たせるようにすることに関連した科目があります
ケアマネジメント論:この科目では、ストレングスモデルについて学ぶことが明確に示されています。ストレングスモデルは、問題や欠点に焦点を当てるのではなく、本人の強みや能力、資源に着目して支援を展開するアプローチです。このモデルの意義や基本的な考え方を学ぶことで、支援対象者が自身の強みを認識し、それを活用していくことの奔驰宝马游戏大厅_电子游戏APP下载-【唯一官网首页】性について間接的に理解を深めることができます。授業概要では、ケアマネジメントにおけるストレングスモデルの意義についても理解を深めることが目的とされています。
生活支援技術Ⅱ:この科目では、自立に向けた生活支援技術を学ぶ際に、対象者の能力を活用?発揮できるような技術の基礎的な事項を実践することが到達目標の一つとして挙げられています。これは、支援者が対象者の持つ能力(強み)を見出し、それを引き出すための技術を学ぶものであり、対象者自身が自分の能力を再認識し、活用していくことにつながる内容と言えます。尊厳の保持や自立支援、生活の豊かさの観点から、本人主体の生活が継続できるための介護実践の基礎を修得することを目的としています。